FXSEがどのような過程で作られたか、「予測と分析に至る道」をご案内します。
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第7章 その他の要素(2) 為替介入
今まで、為替相場に影響を与える2大要素「投機」と「実需」について解説いたしました。では、それ以外の要素はどうなるでしょうか?
・信用収縮による強制清算
・保険会社・年金運用のオープン外債・外国株投資
・政府機関による為替介入
これらについても検討を行っておりますので、AnalyticsSystemsの見解をご紹介します。
【政府機関による為替介入】
為替介入の影響(効果)については、評価が難しいところがあります。2003年~2004年に大規模な為替介入が行われましたが、中長期的な結果としてはFXSEの実需ライン通りの動きになり、大局的な流れ自体は変わらなかった為です。2011年の円高阻止介入も、ちょうど東日本大震災の保険金・資金手当ての波に飲まれ、中長期的には流れを変えるには至りませんでした。2024年の円安阻止介入も、同じ感じになっています。
為替介入は効果がないのでしょうか?
ところが、です。中長期的には実需トレンドが強く出るのですが、為替介入にも一定の効果があります。それは、「投機ポジションの解消を誘発し、かつ買いの天井・売りの底を作ることができる」点です。
介入が入るレベルですと、大体は投機ポジションも偏りがかなり大きくなっている事が多くなっています(2024年の例)
その場合、投機の現場でも「もうポジションが一杯になっている、解消するきっかけが欲しい」と考えていることが多いので、介入が良いきっかけとなりポジション解消、つまりは介入意図通りの値動きとなる事が多い様です。
またもう一つのケースとして、今現在はポジション数量的に大した事がなくても、これから投機が始まることが容易に予測できる状況であることもあります(2011年の例)
この場合、介入が入ると、投機の現場で「あまり深追いはできない、深追いしても他の投機が追随しなければ自分たちだけ損をする」という考えに至り、投機がやや抑えられます。「行きすぎた投機がなくなる」という点で介入は成功していると言えます。
為替介入は「大きな流れを変えるもの」というよりも、「投機ポジションに調整がかかるもの」と考えると良いと思います。
「為替介入が入るか、どれくらいの影響があるのか」はFXSEの持つ情報では予測不可能ですが、以下の状況を確認することで、おおよその予測は可能ではないでしょうか。
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まずは投機ポジションを確認して、どれくらい溜まっているのか把握します。
偏りが大きい場合、「今の投機ポジションが解消される場合、どっちの方に行くだろうか?」と想定する事で、おおよその予測が可能ではないでしょうか。
偏りが大きくない場合、介入自体は「良い買い場・売り場」扱いされてしまい、すぐに戻ってしまうこともあります。ただ、ポジションの偏り許容量に(気持ち的に)制限がかかる他、偏りが再度大きくなった段階で再介入が入るケースが多い為、深追いしない方がよさそうです。
また、為替介入の方向と実需トレンドの方向が逆の場合はどうでしょうか?
このときは、残念ながら為替介入はそのうち押し戻されるか、あまりレートが変わらず効果が見えない状態になる可能性があります。投機ポジション次第ではスクエアを誘発して介入通りの方向に行けるのですが、実需トレンドは「円安修正目的に対し、下方向にある岩盤」もしくは「円高修正目的に対し、上方向にある強靭な天井」の様に作用する事が多く感じます。
2024年の投機ポジション
2024年の投機ポジションは、ドル買い円売りの偏りが過去最大を更新するステージに入りました。ここまで来ると、介入を行って天井作りを行っても、天井として機能するのは2カ月程度になってしまいます。
また、前年からドル買いが一方的に増え続けて高い水準をキープしている為に、通常2ヵ月スパンで往復を繰り返していた投機ポジションが一方的に上昇し続ける変化になり、「投機が中期トレンドを形成する」状況になりました。