FXSEがどのような過程で作られたか、「予測と分析に至る道」をご案内します。
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第3章 投機による予測
為替レートが動いた理由に基づく予測を行う過程で、最初は投機の要素を調査研究する事にしました。
投機要素を分析する場合、まずは元データとなる投機のポジション状況を把握する必要があります。ちょうど、投機の統計については広く知られているものがありましたので、それを用いる事にしました。
米国CFTC(商品先物取引委員会)が公開している、シカゴ通貨先物の投機ポジションです。もちろん、全ての投機筋の情報が集約されるわけではないものの、短期的な週足との連動性は確かです。
当研究所では、投機ポジションの偏り状況から次の様に予測しています。
【投機ポジションの偏りが、円売り過剰状態(円安MAX)の場合】
円売りの解消材料を市場が探し始めます。
この状況になると、指標発表時に以下の現象が出ます。
良い指標結果でも円高になるか、さらなる円安にはなりません。ニュースでは「好材料出尽くしと判断されて天井と認識された」などと表現されます。
悪い指標結果の場合、円高になります。ニュースでは「悪材料が出て先行きの不透明感が広がり、ドル売り優勢となった」などと表現されます。
【投機ポジションの偏りが、円買い過剰状態(円高MAX)の場合】
円買いの解消材料を市場が探し始めます。
この状況になると、指標発表時に以下の現象が出ます。
良い指標結果の場合、円安になります。ニュースでは「好材料が出て先行きの楽観的な見方が広がり、ドル買い優勢となった」などと表現されます。
悪い指標結果でも、円安になるか、さらなる円高にはなりません。ニュースでは「悪材料出尽くしと判断されて底入れ期待が先行した」などと表現されます。
このように投機ポジションの分析によって、同じ「良い指標」なのに「材料出尽くし」or「先行きに対する楽観的な見方」、同じ「悪い指標」なのに「底入れの期待」or「先行き不透明」と反応が異なるのは何故なのか、に対する答えを見つけることができました。
これで「経済統計に踊らされる」状況が抑制され、的確な次の一手を講じる事が可能になりました。
経済統計で踊らされた頃
例え経済統計の数字が良いものであったとしても、「買いたい/買ってもいいな」と思っている参加者全員に行き渡った状態であれば、全員既に持っているので買いが入らない訳です。
このような状況では、経済統計発表後、「良い数字」に飛びついて買っても後が続かない為、レートは一瞬上がっただけで変わらない、もしくは飛びついた参加者が「買われないなぁ、じゃあ売っちゃおう!」と考えて売りに転じる、売りに転じたので既に保有していた参加者までスクエアで売りに乗っかる、そしてどんどん売られていく・・・という結果になるパターンがありました。
翌日の経済ニュースはもちろん「好材料出尽くしで売り先行」です。
駆け出しの頃、「良い数字」に飛びついて損失に直行した、苦い思い出があります・・・
2017年から2019年は狭い範囲を往復するボックス相場で、この相場はほぼ投機ポジション推移が形造っていました。この時期は投機要素による予測理論のおかげで、良い成績を安定的に実現しています。
ところが、です。2021年後半からの大きな円安の流れでは、投機ポジションの推移に逆行する形となる局面が現れました。
投機ポジション予測だけではどうにもならない局面がある事が再認識されたのです。
やはり為替レートに「一方通行の大きな流れ」を起こすものは、一方通行なお金の流れを生む「実需」であるとの確信が生まれました。2017~2019年に投機分析だけで成功を収めたのは、「実需統計が横ばいで一方通行の上下フローがなかった、その結果投機だけが為替レートを動かす形になっていた」からに他なりません。
そこで、かねてより研究を続けていた「実需」の分析を本格的に行うことになりました。